毎月、労働・社会保険、人事労務の実務に関する最新情報や今話題のトピックスを掲載いたします。

また厚生労働省の報道発表資料、助成金情報等もご紹介致しますので
社会保険・労働保険・人事労務実務の一助としてご参考にしていただければ幸いです。

子ども・子育て支援法第 69 条に基づき一般事業主から徴収する拠出金率が0.34%となります 

4月分の社会保険料から子ども・子育て支援法第 69 条に基づき一般事業主から徴収する拠出金に係る拠出金率が変更されます。

従前の0.29%から0.05%引上げの0.34%となりますので5月20日前後に管轄年金事務所より郵送される社会保険料の納付書をご確認下さい。

国税庁が「改元に伴う源泉所得税の納付書の記載のしかた」を公表しています

天皇の退位等に関する皇室典範特例法(平成29年法律第63号)に基づく皇位の継承に伴い、本年5月1日から元号が改められる予定です。
源泉所得税の納付の際には、改元後においても、「平成」が印字された「源泉所得税の所得税徴収高計算書(納付書)」(以下「納付書」といいます。)を引き続き使用することができます(注)。
「平成」が印字された納付書の記載に当たっては、「改元に伴う源泉所得税の納付書の記載のしかた(リーフレット)」をご参照ください。

(注) 対象となる納付書は、以下のとおりです。

  • 利子等の所得税徴収高計算書
  • 配当等の所得税徴収高計算書
  • 給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(一般用)
  • 給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(納期特例分)
  • 非居住者・外国法人の所得についての所得税徴収高計算書
  • 報酬・料金等の所得税徴収高計算書
  • 定期積金の給与補てん金等の所得税徴収高計算書
  • 上場株式等の源泉徴収選択口座調整所得金額及び源泉徴収選択口座内配当等・未成年者口座等において契約不履行等事由が生じた場合の所得税徴収高計算書
  • 償還差益の所得税徴収高計算書
  • 割引債の償還金に係る差益金額の所得税徴収高計算書

厚生年金保険の70歳到達時の被保険者等の届出が
一部省略となります 

厚生年金保険の被保険者が70歳に到達した際に提出することとなっていた「厚生年金保険被保険者資格喪失届及び厚生年金保険70歳以上被用者該当届」(「70歳到達届」)の取扱いが本年4月1日から変更となり、下記のとおり、一定の要件に該当する被保険者については届出が不要となりました。

【現行】

被保険者の70歳到達月の前月に、日本年金機構から事業主宛てに「届書提出のご案内」および「70歳到達届(用紙)」が送付され、70歳到達日(誕生日の前日)から5日以内に、事業主が日本年金機構へ70歳到達届を提出。→事業主からの届出が必要

【改正後】

1 標準報酬月額に変更がない場合
日本年金機構が70歳到達届の処理を行った上で、事業主へ「資格喪失確認通知書」等(※1)を送付します。 →事業主からの届出は不要
※1  「厚生年金保険被保険者資格喪失確認通知書」および「厚生年金保険70歳以上被用者該当および標準報酬月額相当額のお知らせ」

 

2 標準報酬月額に変更がある場合
これまでと同様に、70歳到達日から5日以内に、事業主は、日本年金機構へ70歳到達届を提出してください。 →事業主からの届出が必要

社会保険未加入状況に関する「厚労省の調査」

厚労省の調査により、厚生年金に加入する資格があるのに未加入になっている労働者が推計156万人に上ることが分かりました。2017年10月から2018年3月にかけて、国年第1号被保険者から抽出調査した結果をもとに推計したもの。約3年前の前回調査から44万人減ったものの、未加入労働者は相当数あり、企業が保険料の負担を避けるために加入逃れをしているケースが多いとみられているそうです。

今後も年金事務所も定期調査の主要ポイントは、社会保険未加入者探しになると存じます。

厚生労働省のモデル就業規則と就業規則作成支援ツールの最新版が公開されました 

厚生労働省が、モデル就業規則の「平成31年3月版」と、「就業規則作成支援ツール」の最新版を公開しました。
モデル就業規則では、働き方改革法の施行に伴う年5日の有給休暇の取得や、雇入れ時の労働条件の電子メールなどによる明示などについての条文が盛り込まれています。

また、支援ツールは、WEBを活用して入力フォームから必要項目を入力・印刷することで、労働基準監督署に届出が可能な就業規則を作成することができるものとなっていて、ユーザー登録をしておくことにより就業規則の入力データを保存し、過去に登録したデータを呼び出して書き換えることができます。
いずれも、モデル就業規則の雛形ですので、実務上は自社の事情に合わせてカスタマイズして利用する必要がありますが、作成する際のベースまたは参考として活用できます

当事務所では、モデル就業規則及び市販の弁護士先生が作成した就業規則を活用し、お客様の事情に合わせた就業規則の作成を安価で支援しております。

ご興味のある方は、是非ご連絡くださいませ。

平成31年度の雇用・労働分野の助成金のパンフレットが公開されています

厚生労働省が、平成31年度の雇用・労働分野の助成金のパンフレットを公開しました。

簡略版」と「詳細版」が公開されており、「簡略版」はカラーで見やすく28ページでまとめられ、目的に応じた助成金の検索表もカラーで色分けされ、事業主への説明などには利用しやすくなっています。

また、「詳細版」のほうは、助成金ごとにファイルが分けられて実務で利用できるよう細かな手続きが示されています。

厚生労働省が毎月勤労統計にかかる
雇用・労災保険の追加給付についてのページを更新

厚生労働省が、毎月勤労統計にかかる雇用・労災保険等の追加給付についての情報ページを更新しました

 

追加ページには、主に以下のような情報が掲載されています。

 

☆3月18日時点で雇用保険を受給中の人
次回の認定日(支払い日)に3月18日以降の給付額について、正しい額での支給を行う。
(3月18日が認定日の人は、その次の認定日から、正しい額(今回の認定日(3月18日)から次回認定日の前日までの給付額)での支払いとなる。これは、雇用保険の基本手当は、認定日から次回認定日の前日までの支給となるため。

 

☆それ以外の人
対象となる人に対し、追加して支払う金額を計算するプログラム作成などの準備が整い次第、順次、支払う。
〇次の1~4に当てはまる人にはお知らせがお手元に届かない可能性があるため、登録フォームから必要事項の記入・登録を行ってほしい。
1.2010年10月4日以前に氏名を変更した人
2.住民票記載の住所と異なる場所に一時的に滞在している人
3.海外転出届を市町村に提出していることにより住民票が除票されている人
4.家族が雇用保険等を受給中または受給終了後に亡くなった場合の遺族 

追加給付の対象となる方は、ご確認くださいませ。

改正労基法4月1日より施行!
労働条件をFAXやSNS等で通知する場合の詳細 

本日4月1日から施行される改正労働基準法施行規則で、従来、書面による通知が義務づけられていた労働契約締結時の労働条件の通知が、一定の場合にはFAXやSNS等でも可能となりますが、その詳細を示した事業主向け・労働者向けのリーフレットが公開されています。

 

気になるところは、「SNS等」の具体例とその方法ですが、リーフレットには以下のように書かれています。

 

労働者が希望した場合は、以下のような方法で明示することができるようになります。ただし、出力して書面を作成できるものに限られます。なお、労働者の個人的な事情によらず、一般的に出力可能な状態であれば、出力して書面を作成できると認められます。
① FAX
② Eメールや、Yahoo!メール、Gmail等のWebメールサービス
③ LINEやメッセンジャー等のSNSメッセージ機能等
(注)第三者に閲覧させることを目的としている労働者のブログや個人のホームページへの書き込みによる明示は認められません。

 

また、「メール・SNSで明示する場合には、印刷や保存がしやすいよう添付ファイルで送りましょう。」との注意書きがされているほか、以下のような点が留意事項として掲げられています。

 

■明示する内容は、事実と異なるものにしてはいけません。
■紛争を未然に防止する観点から、
・労働者が本当に電子メール等による明示を希望したか、個別にかつ明示的に確認しましょう。
・本当に到達したか、労働者に確認しましょう(※1)。
・なるべく出力して保存するように、労働者に伝えましょう(※2)。
※1 労働者が受信拒否設定を解除しておらず、メールがサーバー上に残っている場合など、労働条件を明示したにもかかわらず、労働者が内容を確認できない場合があります。
※2 SNSなどの一部サービスでは、情報の保存期間が限られている場合があります。
■SMS(ショート・メール・サービス)等による明示は禁止されていませんが、PDF等のファイルが添付できず、文字数制限もあるため、望ましくありません。
■労働契約の締結時に明示を怠ったり、労働者が希望していないにもかかわらず、電子メール等のみで明示したりすることは、労働基準関係法令の違反となります。(最高で30万円以下の罰金となる場合があります。)

 

実際にこれらの方法を採る場合には、細心の注意が必要となりそうです。リーフレットには、具体的な「良い例」「良くない例」も示されていますので、確認しておきましょう。

労働社会保険関係法令の平成31年4月からの改正内容

労働社会保険関係法令に関連する平成31年4月からの主な制度改正を整理しました。労働関係では、働き方改革関連法がいよいよ本格的に施行されます。社会保険関係では、国民年金第1号被保険者の産前産後期間の保険料免除などがスタートします。

1.年次有給休暇の年5日の時期指定付与義務(労働基準法)
使用者は、年次有給休暇を年10日以上付与している労働者に対し、年5日の年休を取得させなければなりません。取得日数が5日に満たない労働者に対しては、使用者が当該労働者の意見を聴取し、できる限り労働者の希望に沿った時季をを指定して取得させなければなりません。

2.時間外労働の上限規制の適用(大企業)(労働基準法)
使用者は、労働者の過半数代表者と36協定を締結し、労働基準監督署に届け出た場合に限り、協定に定めるところにより、労働時間を延長し、または休日労働をさせることができますが、その延長時間に罰則付きの上限が設けられます。

中小企業は2020年4月まで適用が猶予されます。また、建設業、自動車運転業、医師、鹿児島県及び沖縄県の砂糖製造業は2024年4月まで適用が猶予されます。

3.フレックスタイム制の清算期間の上限を3ヵ月に延長 (労働基準法)
フレックスタイム制を導入する場合の清算期間の上限がこれまでの1ヵ月から3ヵ月に延長されます。清算期間が1ヵ月を超える場合は、労働基準監督署に労働協定の届出が必要です。

4.高度プロフェッショナル制度の導入 (労働基準法)
業務の性質上従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められる高度専門職に就き、高収入の労働者を対象に、36協定の締結や時間外・休日及び深夜の割増賃金等の規定が適用除外とされる高度プロフェッショナル制度が創設されます。

5.労働時間の状況の把握義務(労働安全衛生法)
事業者は、長時間労働者に対して医師による面接指導を実施するため、すべての労働者の労働時間の状況を客観的な方法により把握しなければなりません。

6.医師による面接指導の対象者の拡大(労働安全衛生法)
医師による面接指導の対象となる労働者の労働時間の要件について、法定労働時間(週40時間)を超えた時間が「月100時間」を超えた者から「月80時間」を超えた者に見直されます。また、事業者が当該労働時間を算定したときは、その情報を当該労働者に提供しなければなりません。

7.産業医の活動環境の整備等(労働安全衛生法)
産業医を選任した事業者は、産業医の業務等を労働者に周知しなければなりません。
産業医を選任した事業者は、産業医が労働者の健康管理等を適切に行うために必要な情報を産業医に提供しなければなりません。
産業医の勧告を受けた事業者は、その内容を尊重するとともに、勧告の内容等を衛生委員会等に報告しなければなりません。

8.労働者の心身の情報の取扱い(労働安全衛生法)
事業者は、労働者の心身の状態に関する情報を収集し、保管し、または使用するにあたっては、労働者の健康の確保に必要な範囲内で労働者の心身の状態に関する情報を収集し、当該収集の目的の範囲内でこれを保管し、及び使用しなければなりません。
事業者は、「労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針」に基づき、当該情報を適正に管理するために必要な措置を講じなければなりません。

9.雇用保険料率の改定(据え置き)
平成31年度の雇用保険料率は30年度から据え置かれます。
一般の事業0.9%、農林水産・清酒製造の事業1.1%、建設の事業1.2%

10.在職老齢年金の支給停止調整額等の見直し(厚生年金保険法)
平成31年度の在職老齢年金は、60歳台前半の支給停止調整変更額及び60歳代後半と70歳以降の支給停止調整額が46万円から47万円に改定されます。60歳代前半の支給停止調整開始額は28万円で変更ありません。

11.国民年金第1号被保険者に対する産前産後期間の保険料免除(国民年金法)
国民年金第1号被保険者が出産した場合に、出産予定日または出産日が属する月の前月から4か月間の国民年金保険料が免除されます。多胎妊娠の場合は、出産予定日または出産日が属する月の3ヵ月前から6か月間の国民年金保険料が免除されます。なお、この財源として、平成31年度以降の国民年金保険料には100円が上乗せされます。

12.協会けんぽの保険料率改定(健康保険法)
協会けんぽの健康保険料率及び介護保険料率が4月納付分から改定されます。健康保険料率は都道府県ごとに9.63%から10.75%に、介護保険料率は全国一律1.73%です。